今回取材させていただいたのは、香川県に本社を置き、リーガホテルゼスト高松とロイヤルパークホテル倉敷でジャッジプライスを導入いただいている穴吹エンタープライズ 株式会社様です。
部長の十川様と中村様に、ジャッジプライス導入の経緯と、実際に導入されてみての変化を伺いました。
ジャッジプライス導入の経緯
導入検討時に抱えていた課題を教えてください。
中村様
弊社は複数施設のレベニューマネジメントを本社で管理しているのですが、当時はサイトコントローラーのアラートが出たところの対応等、”作業部分”にかなり手間がかかっており、各施設の予約実績を分析したり、旅行支援にともなう急激な潮目の変化を予測したりと”頭で考える部分”にまでなかなか時間を割けていないことが課題でした。
今、振り返ってみると、目の前のオンハンドを高めていくことばかりしていたように思います。
最初ジャッジプライスに期待していたことはありましたか?
中村様
この仕組みを知った時に、「1年先まで、予約が入ってくる度に金額を見直すなんて、人間には無理!」と思いました!
レベニューの担当人数を増やせばできるのかもしれませんが、人が行うレベニューマネジメントでは、サイトコントローラーのアラート設定からこぼれるような、少しずつのオンハンドの伸びには気づかないこともあります。
ジャッジプライスを導入することで、ロボットが気づいて、販売レートを調整してくれれば、その部分がカバーできると思いましたし、人間の仕事が機械に奪われていくというのは、こういうことなんだなとも感じました(笑)
サイトコントローラーのアラート設定からこぼれるということでしたが、ジャッジプライス導入前と後ではどのくらい幅が変わりましたか?
中村様
幅はだいぶ狭めました。部屋タイプ別で残室数ごとにアラート設定をしていましたがそれらもすべてやめました。 ジャッジプライスを導入してからは、その設定をしなくても、ジャッジプライスが稼働率に合わせて価格をあげてくれるので助かっています。
今は、1時間以内に、特定の部屋タイプで、一定数以上の予約が入ってきた時だけにアラートが届くように設定してるくらいです。
ジャッジプライス導入前後での、アラート対応の工数はどのくらい変化しましたか?
中村様
ジャッジプライス導入前は1日に50~60件のアラート通知メールがきていて、それに対応していたのが、今は1日に数件しか届かないので、工数は10分の1以下になりましたね。
他社のツールとも比較検討はされましたか?
中村様
レベニューマネジメントのツールがいくつか存在するのは知っていましたが、知識もあまりなかったのと、時間的な兼ね合いもあって、たくさんのツールを比較するところまではしませんでした。
ジャッジプライスか、他社のAIシステムかの、どちらか1つを導入する予定でしたが、経営陣から「このようなツールは日進月歩なので、2社導入して比較してみた方が良い」と言われたため、一気に2社導入することにしました。
弊社は自転車で移動できるほどの狭いエリア内で複数のホテルを運営している特殊なグループですので現在もジャッジプライスと、他社のAIシステムの「いいとこどり」をしながら、使い分けをしています。
ジャッジプライス導入を決めたきっかけを教えてください
中村様
大阪で開催された展示会で御社のセミナーを聞いたのがきっかけです。内容を聞いた時は「そんなツールがあるのか!」と驚きました。
会社としてはこのようなレベニューマネジメント自動化ツールについては前向きでしたか?
中村様
私個人としては、導入起案者として前のめりでしたが、新型コロナウィルスによる影響が、業界全体で今後どのようになっていくのか、外部環境が予測しにくい中、ホテルの主要なマネージャーは意思決定に悩む状態だったと思います。
ホテル部門を統括している役員と一緒に議論をし、さらに船井総研デジタル社の本丸(※船井総研デジタルの東京本社)にも高松から一緒に出向き理解を深めていったことがよかったです。
十川様
当時、新しいものを導入するための検討部署がなく、取りまとめる人間がいなかったというのもあります。新しいことをやりたいなら各部署単位でやる、というような状況でした。
また、それぞれのリテラシーもあまり高くはありませんでした。
ただ、社長が先見性のある人で、コロナ禍が始まる少し前くらいに「各ホテルは同じことをやっている。それなら横断的にまとめる1つの部署として、レベニューの専門部署を作ったらどうか」という指示が出ました。そこで我々の部署ができて、今は我々の部署でツール等の情報を仕入れて、良かったら導入していく、という流れに切り替わっています。
中村様
コロナ前、各ホテルでレベニューマネジメントをやっていたら、ツール導入にはなっていなかったと思います。
その当時、私は100室程度のホテルを預かっており、ホテルの最前線にいると目の前のお客様対応や、スタッフ育成が最優先になりますので、OTA周りはどうしても後回しになってしまうのが悩みの1つでした。セール参画とかも忘れてしまったり…。
なので、専門部署ができることを聞いた時は、純粋に嬉しかったですね!
実際にジャッジプライスを導入してみて
経営面での変化を教えてください
中村様
経営という視点でいくと、旅行支援事業等があったので、ジャッジプライス導入前と比較をすることは難しいですね。
また、2019年当時は経験やスキルも伴っていなかったので、その点でも比較が難しいかなと思います。 具体的な数値は差し控えますが、リードタイムが驚くほど変わりました。
先行予約をしっかりと獲得できるようになったのが最も大きな変化です。宿泊実績の見込も早期から予測することができ、課題感やその課題をどのように解決していくのかが長い視点でみることができています。
DOR(1室あたりに平均して何名宿泊したかを示す数字)
(2018年)1.29(2019年)1.33(2022年下半期)1.51(2023年)1.55
先行予約の増加:60日以上先の予約が全体の30%/前年5%
2019年当時、レベニューマネジメント知識の習得はどのようにされていましたか?
中村様
接客等にはOJTがありますが、レベニューマネジメントに関しては、サイトコントローラーの操作方法を含めて、誰かから教わるという文化自体がありませんでした。
私はそれまで宿泊部門の経験がなく、レベニューマネジメントは言葉すら理解していない素人でしたので、不安しかありませんでした。とりあえず見よう見まねでやって、あとは書籍を買って基礎を勉強してみたりと、完全に我流で習得しましたね。
実績面での変化を教えてください。
中村様
「こんなに先行予約のマーケットってあるんだ!」と痛感しました!
ジャッジプライス導入前はアラート対応に追われていたこともあり、1年先までを見るという習慣がなく、正直、3か月先までしか見ていなかったので、もしジャッジプライスを導入していなかったら、人手があったとしても、そもそも1年先まで部屋も出せていなかったかもしれません。
また、平日にタイプオーバー(ダブル・ツインをシングルで販売)させることがほぼなくなり、ダブルやツインをしっかり複数名で販売できるようになりました。
ジャッジプライスを導入したことで、毎日価格が変動していきますが、現場やお客様の声に変化はありましたか?
中村様
リードタイムが長い、早く予約してくださったお客様は「安く予約できてラッキー♪」と思っているかもしれませんね。反対に、お客様から「高い!」等のお声もありません。
フロントメンバーからは、同じ部屋を売っているのに、結構価格差が出ていて「チェックインの時にびっくりする」という声も出ますが、「お得に予約できててラッキー!」というお客様もひっくるめて、今の市場に見合った価格で販売ができているんだろうなと思っています。
オペレーション面での変化を教えてください。
中村様
まず一つ目は、サイトコントローラーと向き合う時間がほぼなくなりました。
在庫調整するくらいです。日々のコントロール作業(1か月先は毎日・3か月先は週に1回)から解放された分、オンハンドが進みすぎている、または、遅れているというような「課題感のある日程」や、「繁忙日」だけに絞って、対策を考えることができるようになりました。
正直、以前は予約実績がいいのか悪いのかも把握できていませんでした。稼働ベースで今どのくらいか、というのは把握できていても、予約実績の数字はほぼ取れていない状態で…。入ってきた予約実績と、実際チェックアウト後の稼働実績と2軸に分けて振り返りをする時間が取れるようになったことがいちばん大きいと思います。
予約実績の段階だと、当然稼働前なので、その時点で何か気付けば手を打つことができる。予約実績を紐解くことは重要だなと思うようになりました。
自分の手でレベニューマネジメントをしていた時にはできなかった細かい分析ができるようになって、レベニューの精度が高まったように感じます。
二つ目は、他社ホテルの料金を見ることが減りました。
今、平時はほぼ見てないです。3か月先の平日もまず見に行くことはありません。 以前、手で動かしていた時は競合を見ていましたが、今は基本的に、ジャッジプライスの仕組みできれいに価格を上げきることができるので、よっぽどの弱日か、強気のシーズナリティ設定をした日で、大きい乖離がないか確認するくらいです。本当に困った時にしか見ていません。
どのような施設にジャッジプライスをおすすめしたいですか?
中村様
レベニューマネジメントを行なっていない(レベニューマネージャーが存在しない)宿泊施設や、お客様の対応に追われて、今月・翌月・翌々月のオンハンド状況がつかめていない支配人さんに、ピッタリなんじゃないかと思います。
OTAのプロモーションを熱心に行っているホテルなんかも良いかと思いますね。 特に、弊社のリーガホテルゼスト高松のような、市況が一定数あって、観光利用もビジネス利用もある、リードタイムが直近寄りのビジネスホテルなんかは特にいいのではないでしょうか。
導入検討時との導入後でのギャップはありましたか?
中村様
シーズナリティ4つ×14ランク=56通りを部屋タイプごとに、料金を細分化していく必要があるのですが、その細分化していくための分析力が高まりました。
また、ジャッジプライスを活用するためのテクニックを考えたり、引き出しを増やす必要があると考えるようになり、ジャッジプライスのポテンシャルをさらに引き出す方法に真剣に向き合えています。
リアルタイム反映でなくて困ることはありますか?更新の回数は少なくないですか?
中村様
困ったことは正直、1日もないです。
夜間の1回と、直近1か月分を夕方に動かすことで充分です。
台風が来たり、交通機関が止まるようなイレギュラーの時は、手で動かすほうが良いと思います。
都会であれば競合も多いでしょうから、どうかはわかりませんが、我々のような地方都市では特に困ることはありません。
改善要望があれば教えてください。
中村様
井筒さんに作成いただいたオンハンドシートは稼働実績を掴むのに、かなり活用させていただいています。必要な数値すべてを週次で追うことができるので、これがあれば十分なんですが、次はブッキングカーブを見るような機能もあるとなおありがたいです。ジャッジプライスも新しいバージョンになって、どんどん進化していくことに期待しています。
ジャッジプライス導入にあたって、そして、導入後も、私たちを向かうべき方向にエスコートをしていただいている船井総研デジタルの井筒さんには感謝をしております。
導入後に、私たちが感じている課題に対して、適切な対策をアドバイスしていただいたり、ジャッジプライスの裏技的なノウハウをささやいていただいたりと、井筒さんの引出しの多さと優しさ驚かされています。
これからも、ずっと伴走してくださいね。
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